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のための基盤となり、世界の総面積の7%しかない土地で22%の人口を支えるという問題の解決に重要な役割を果たしています。
中国は多くの課題に直面しているのも事実です。第一に、水に対する需要の高まりは、北部および高地の一部において水資源が均等に配分されていないため、短期間の間に収束することはありません。第二に、水資源保全事業の展開と管理は長い間、杜会福祉事業と見なされてきました。この分野における投資は、いまだに無償で提供される政府の資金に主に頼るという考えやパターンの影響をある程度受けています。この分野では、自立した支援と展開のためのシステムがまだ確立されていません。第三に、人口増加、都市化の拡大、産業と農業の発展により、小中規模都市において水の需要と供給の格差がますます深刻になってきています。第四に、水資源の包括的利用にはまだ改善の余地が多くあり、水の再利用率は低く、水質汚染も進んでいます。
水資源を保護・管理し、合理的な開発と活用を行うことは、中国政府にとって現在および近い将来の大きな課題であるだけでなく、食料安全保障と持続的な経済成長を保証するための条件となっています。このため、中国政府は「水の経済的利用と新たな水源の探索を同じように重視し、保護と管理を統合させる」という原則を主張しています。これに従って具体的な方策もまとめられています。

 

1. 土壌流失および水質汚染の包括的管理と処理の強化
この作業はできる限り早く行う必要があります。経済の建設と人間の活動から発生する土壌流失と水質汚染は、我が国の水環境を良好な状態に保つために抑制しなければなりません。農業インフラを建設する際には灌漑施設が一貫して強調されます。点滴灌漑やスプリンクラー式灌漑など、水を節約するための近代技術の普及も行われるほか、自然農法もより重視されます。

 

2. 工業と農業の構造と水不足地域の都市分布を調整する
水を大量に消費したり、深刻な公害を引き起こす一部の産業の導入を差し控えます。一方、農業構造を調整し、水を大量に消費する作物の作付けを制限します。大都市や巨大都市の開発を制限し、中小規模都市の合理的な開発を行う開発戦略を採用することによって、水資源に適した都市や町の配分を行います。

 

3. 新たな水資源を探索して水が少ない地域の水不足問題に対応する
上下水道によって必要とされる水の妥当な需要、排水地域とその生態系環境などに考慮し、長江の水を南部から中央部や東部沿岸地域に分水する計画がいくつかあります。一定の条件が整えば、水不足を緩和するために井戸灌漑を行うことができますが、これにはモーターを使って水を汲み上げる必要があります。

 

 

 

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